心に多色礼讃

唯一無二の大したことないことを胸に

あの日観た【ミノタウロスの皿】

ミノタウロスの皿 (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)


こんにちは、心に多色礼讃のルレムラ(@luremura)です。みなさん、「ミノタウロスの皿」という漫画はご存知でしょうか?

 

ドラえもんで有名な藤子・F・不二雄先生が描かれた作品ですが、本日はそれにまつわるトラウマ思い出も兼ねて、「ミノタウロスの皿」を紹介したいと思います。

 

(途中、ネタバレありますのでご注意!)

 

 

 

ミノタウロスの皿との出会い

私には兄がいます。


その兄とセットで、おじいちゃんが時々レンタルビデオ屋に連れて行ってくれました。

 

レンタルビデオ屋にて

 

その日も、今で言うツタヤ、その当時はWILLという名前でしたね。そこでビデオを借りよう、となりました。もはやビデオが懐かしいですね。

 

アニメのビデオコーナーに行くと、色んなビデオが置いてあります。どれがいいかな~と見ていたら、なにやらドラえもんを描いてる人のビデオを発見。きっとドラえもんの隣あたりに置いていたんでしょうね。

 

 

ドラえもんの人のやし、面白そう、これ借りようや

 

 

孫二人、どっちが言い出したのかわかりません。とりあえず、おじいちゃんにお願いして、そのビデオを借りることになりました。

 

問題のビデオがコチラ。

ミノタウロスの皿 [VHS]

ミノタウロスの皿 [VHS]

 

 

 パッケージの表だけに注目していたのか、裏を見ると思いっきり女性の裸。


当時、保育園児だった私は、違和感を華麗にスルーしたようです

 

ドラえもんを描いた人のアニメが、到底子供が観るようなアニメじゃないなんて、知る由もありませんでした。

 

 

ドラえもんの作者だからと思っていたら…

ここで肝心の「ミノタウロスの皿」のあらすじを。

 

宇宙船の事故で地球によく似た惑星に緊急着陸した主人公は、その星でミノアという美しい少女に救出される。
その星は、地球でいうところの「牛」にそっくりな種族が支配する世界で、彼らは地球でいうところの「人間」にそっくりな種族を家畜として育てていた。
ミノアはその家畜の中でも特に育ちの良い女性で、最高級の食材「ミノタウロスの皿」に選ばれ、民衆の祭典で食べられる運命にあるという

(Wikipediaより引用)

 

 

太文字部分、嫌な予感しかしません。

 

さて、レンタルビデオ屋から帰宅後、何も知らない兄妹二人はビデオデッキ(懐かしい)に借りてきたビデオを入れます。

 

開けてビックリ、観てビックリ

 

ビデオの再生がはじまる画面。
おなじみのドラえもんの人の絵で進む物語。
しばし二人とも画面に集中。

 


 


しばらくして、「あ、これ、ドラえもんと違う」と気づきました。

 
保育園児でもわかる違和感。

 

この時分、当然話の内容は理解していないんですが、断片的に覚えていたのは、

・ヒロインの女の子に恋をしてしまい、キスを迫る主人公の画。
・ヒロインがお祭りの捧げものとして食べられてしまうということ。
・裸になったヒロインが「おいしそうでしょうー!?」と笑いながら、捧げものとして運ばれていく画。
・最後、ステーキを食べる主人公の背中の画。

特に、これから自分が食べられてしまうというのに、裸で神輿みたいに運ばれながら、笑顔で「おいしそうでしょうー!?」なんて訊いている画なんて、トラウマ以外の何者でもないわい!

 

観たのがコチラ。とりあえず3分の1だけ貼り付けてみました。

 


SF短編 ミノタウロスの皿 1/3

 

 

次のアニメも、ラーメン大好き小池さんが包丁で刺されてニタ~っと笑っているんですよ。(「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」より)。絶対おかしいよ、これ、ドラえもんみたいなのじゃないの?

 

私のなんとも言えない違和感をよそに、無事(?)ビデオは終わりました。

 

何が何だかわからず混乱する保育園児。

 

 

こうして、はじめての「ミノタウロスの皿」は、二人の兄妹に強烈な印象を残したのでした。

 

 

月日は流れるも

その強烈な出来事から10年近く経った頃でしょうか。

 

私も兄も、10代半ばから後半くらいになっていました。

 

兄は、いつの間にか漫画を大量に買うようになっており、何かと私に貸してくれていました。(自分では一冊も買わずに漫画を読めるなんて、今思うとかなり贅沢!)

 

そんなある日、ふと、遠い昔観たアニメが脳裏に蘇ります。

 


あれは、なんだったんだろう?

 

 

脳裏に断片的に残っている画。膨らむ疑問。

 

確かめてみたくなり、兄に訊いてみました。

 

すると、兄も覚えていたようで、私の記憶する内容とほぼ同じ。

 

それからは仕事が早かった。その当時は、すでにネット環境もありますから、兄はすぐに調べたのでしょう。数日後にはすでに買ってきていました。

 

 

約10年振りのミノタウロスの皿

それがコチラです。 

ミノタウロスの皿 (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)

ミノタウロスの皿 (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)

 

  
高校生になった私が表紙を見た第一印象。

 


「おお…禍々しい。

 


イラストレーターさんごめんなさい(笑)。 (土橋とし子さんという作家さんみたいですね)

 

でも、このイラスト、短編集全体に漂う「不気味さ」をうまく表してくれているイラストなんですよ。

 

不気味さ漂うイラストに、「どんな作品が他に収録されているんだろう」と、高校生になった私はどこかワクワクしていました。高校生になったこともあり、ブラックに少し耐性がつくようになっていたんです。


こういう表紙のもあるみたいですね。 

藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編 1

藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編 1

 

 

ちなみに、「SF」は「(S)すこし(F)ふしぎ」と読みます。

 

 

高校生になった私が読んでみて

約10年ぶりに再会した「ミノタウロスの皿」。


読んであらためて感じたのが「なんでコレ子供向けコーナーに置いてたんだろう」(笑) 大人が読んでも怖いです。

 

あと、「藤子・F・不二雄ってこんな漫画も描くのか」という驚嘆。

 

あのシンプルな絵には、土臭さや細かい描写を得意とする漫画家さんが描かれるのとはまた違う、落差の怖さがあります

 

普段、力を大袈裟に誇示しない人が見せた「底の見えない力量」を見たような気がしました。F先生、ポテンシャル高すぎます。

 


こうして、約10年ぶりに会った「ミノタウロスの皿」は、やはり私に強烈な印象を残したのでした。


ちなみに、これを機に、兄が他の藤子作品も買ってくるようになりました。ありがたや。

 

 

ミノタウロスの皿以外のSFシリーズおすすめ

他のおすすめ作品もご紹介。

 

個人的に好きなのは「カンビュセスの籤」「ノスタル爺」。収録されているのがコチラ。

箱舟はいっぱい (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)

箱舟はいっぱい (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)

 

 

ミノタウロスの皿もそうですが、両作品とも最後のコマが本当に秀逸。(もちろん、どのSFシリーズもそうなんですが!)

 

「カンビュセスの籤」は、「え?こういう終わり方させるの?」と、ゾッとするし、対照的に「ノスタル爺」は、主人公の哀愁やら思いが、最後のコマに凝縮されていてボロボロ泣く始末…。

 

興味のある方はぜひぜひ読んでほしいです。(※ブラックユーモア系が苦手な人はご注意!)


どの作品も、今みたいに価値観が大分多様化された時代に描かれたわけじゃないのに、どうしてもこんなものが描けたんだろう。

 

星新一さんのショートショートもそうですが、優れた作品は、時代を飛び越えて、ずっと語り継がれる完成度がありますね。

 

 

有名になってしまって寂しいけど…

「知る人ぞ知る漫画だ!」と思っていたら、いつの間にかテレビでも特集が組まれたりしてなんかちょっと複雑な気持ちも。

 

でも、出会った漫画好きな人には、オススメしております。だって読んでもらいたいから!


遠き日の少女の記憶に刻み込まれた「ミノタウロスの皿」。そのトラウマ記憶は、今でも私の中で生きております。

 

読んでいただきありがとうございました!